まちづくり情報館の「子どもたちを生きにくさから解くために~問われる大人の人権意識~」
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子どもたちを生きにくさから解くために~問われる大人の人権意識~
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2018年05月31日 09:12
 さっそくですが、次の数字は、何を表しているでしょう。
①平成28年は、年間約12万件で前年から約18%増えて過去最多
②平成28年は、年間約70%の学校で約23万8千件、これも過去最多
③平成29年は、年間567人で前年の約1.1倍
④平成28年は、約13万件
⑤平成28年は13.9%で約7人に1人
 これらは、すべて最近の子どもにかかる数字です。①は児童相談所が対応した児童虐待の件数、②はいじめのあった小学校の割合といじめの件数、③は自死した未成年者の人数、④は未成年者が被害者の犯罪の件数、⑤は相対的に貧困状態にある子どもの割合で、子どもの貧困率といわれているものです。これが最近の子どもの人権をめぐる状況の一つです。こうした生きにくさを抱え、苦しみの声さえ聞こえてきそうな子どもの人数は増えています。少子高齢社会といわれ、子どもの人数が減っているなかでのことですので、これらの子どもの割合はいっそう増えていることになります。
 このような状況を「最近の子どもは何を考えているのかわからん」「社会がおかしくなっている」と言って他人事にできるでしょうか。そうでないのは明らかです。虐待は、子どもの人権を踏みにじる行為で、子どもを身体的、心理的、性的に苦しめ、あるいは、養育を放棄しているのは大人です。
 いじめはどうでしょう。確かにいじめる側は指導されるべきです。ただ、子どもたちが抵抗感や罪悪感が乏しいまま、他人が嫌がることをしてしまうのはなぜでしょう。そこには、弱者と見なした人を蔑(けさず)むヘイトの気持ち、心身の痛みへの想像力の乏しさ、暴力で問題を解決する態度があります。これらはすべて、もともと大人にあったものを、子どもたちが知らず知らずのうちに染み込ませていったものといえるでしょう。子は親(=大人、社会)の鑑(かがみ)と言いますし。
 自死も同じです。自死の理由で最も多いのは「進路・学業等不振」です。子どもたちをこれらのことで悩ませているのは誰でしょう。学業成績、ひいては学歴に重きを置き、そのプレッシャーを掛けたのはやはり大人であり、社会の価値観です。何より子どものそのような状況を見逃し、援助できなかった責任は大きいといえるでしょう。また、貧困も犯罪被害も、子ども自身が好きでそのような状況にあるはずはなく、それを生み出した大人の責任以外の何物でもないでしょう。
 ただ、好きでそうしている大人はいないでしょう。知らず知らずのうちに染み込んでいる様々な価値観が呪縛になっていたり、いくらあがいてもにっちもさっちもいかない状況に置かれたりして、わかっていながらも、そうせざるを得なかった状況に追い込まれているのかもしれません。こうした状況を共感的に理解するまなざしを持てること、大人同士、大人に限らず人と人とが互いに責めることなく、支え支えられる関係、救い救われる関係を持てることが、子どもの人権を守ることにつながっていくのではないでしょうか。

関西国際大学人間科学部 坂野剛崇

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