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社会にある「壁」~陸上競技をとおして体験したこと~
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2018年03月29日 08:57
 特別支援学校を卒業した陸上好きの若者たちと陸上競技のチームをつくって8年になります。私はそのチームで代表兼コーチをしています。65歳になった今もメンバーと一緒に練習し、時には記録会などの短距離走で真剣に勝負したり、リレーメンバーに加わったりして楽しんでいます。10人ほどのメンバーは、一人ひとりが個性的で、種目や走力、めざす目標もそれぞれですが、仕事を終えてからの練習に熱心に参加しています。
 今から約2年前に「障害者差別解消法」という法律が施行されました。法律がめざすものは、障害の有無にかかわらず、みんながお互いにかけがえのない個人として尊重し合いながら、共に安心して生き生きと暮らしやすい社会をつくることです。そのために障害を理由に差別や排除をしないことや平等な権利の行使を阻む社会の「壁」を話し合いながら取り払うように求めています。
 しかし、現状はこの法律が求めるものからかけ離れているように感じます。以下の事例は、この法律が施行される少し前に私自身が体験したことです。
 一つ目は、チームのメンバーが家族などとともにA市にあるトレーニングルームで「マシンを利用したい」と申し出た際の施設職員の対応でした。事前講習を受けているのに、マシンを利用するには家族やコーチが付き添うことや、利用料とは別に、トレーニングルームに入るという理由で付き添い者も利用料が必要とのことでした。
聞いて唖然としました。付き添うように条件を出したのは施設側なのに、なぜ利用料が上乗せになるのか、さっぱり理解ができません。また、メンバー一人ひとりと直接対面しようともせず、「障がい者」としてひとくくりにして、「何もできない、何も分からない」人たちととらえているように感じました。その後、法律のことも交えながら抗議した結果、付き添い者は無料になり、利用者の料金もなぜか半額になりました。しかし、職員は手が回らないので、「何かあったら困るので、付き添ってほしい」という条件は変わりませんでした。
 二つ目は、B市で開催された陸上競技大会の事前説明会でのことでした。選手の中には、競技場のトラックに引かれているラインの破線が見えにくく、特に100m走の走路で実線と破線が交差するところでは、実線に沿って走ってしまい、別のレーンに入ってしまうことがあります。そのため、事前に選手と何度も試走しレースに臨みますが、それでもうまくいかないことがあります。説明会では、破線部分に白いテープを貼り、実線に見えるようにしてもらうよう申し入れました。しかし、「テープは貼るが、その選手の記録は参考記録となり全国大会には出場できない」との回答でした。
 納得がいかず、問い合わせると、これまでに前例がないことや他に問い合わせをした結果だとの回答でした。これに対して、テープを貼ることでその選手が他の選手より有利になるということは一切なく、視覚障がい者や聴覚障がい者と同様に個別の対応が必要であることなどを訴え、その後も訴え続けた結果、ようやく昨年の大会冊子の備考欄に「破線→白テープ」と記載され、正式記録となりました。
 二つの体験から4年ほどが経ち、法律も施行された今、障がいのある人たちに対する意識や状況はどれほど変わったでしょうか?「障害」は、その人の一部であり、その人のすべてではありません。そして、一人ひとりが望むことを妨げられたり、みんなと同じ権利を行使することを阻まれたりすることがあってはなりません。立ちはだかる「壁」を少しずつ取り払い、だれもがこの世に生まれ、生きている喜びを心から感じ合える社会をみんなでつくっていきましょう。

三木市人権・同和教育協議会 人権教育・啓発専門員 稲見臣二

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